
本日
人物風土記に掲載されました。
【染色で布も心も美しく】
○…土中の鉄が酸化してできた赤色の顔料「ベンガラ」。上品な色合いで抗菌作用もあるとされ、家の壁などに用いられるほか、衣服の染色にも使用されている。昨年7月、区内のコワーキングオフィス「Co─coya」の一角に工房を開設し、幅広い年齢層の受講者にベンガラ染めの魅力を伝えている。「服が汚れたらごみとして捨てるのではなく、染色することでリメイクできる。楽しんでいる生徒さんの笑顔を見ると、こちらまで楽しくなる」
○…東京生まれ。幼少期はずっと絵を描いている「無口な子だった」。転機が訪れたのは小学5年のとき。親友の誘いで、ある劇団のオーディションを受け合格。「歌手になりたい」という夢が生まれ、次第に「性格が明るくなっていった」。都内の音楽学校で歌唱法を学ぶと、卒業後はドラマのエキストラやぬいぐるみショーなど、数々の舞台を経験。20代半ばからはエステやマッサージの仕事にも挑戦するなど、自分探しの日々が続いた。
○…「人まねは好きじゃない」。独創的な創作への熱意に駆られ、一般的な画材だけでなく、土や野菜の汁で絵を描くなど実験的な手法にも挑戦。土には鉄分が含有されていると知ったことが、ベンガラ染めとの出合いの契機だった。
○…30歳で結婚を機に港北区に転居。作家として本格的に活動を始めたのは6年ほど前だ。工房を開いた現在は365日、絵を描くか染め物をしている。「ようやくしたいことにたどり着いた感覚」。町や森を歩いていて草花を見掛けると「ワクワクする。染め物の素材として全てが宝物に見えるから」。飽くなき探求心が人生に豊かな色彩をもたらす。染色を通じ、人の心にも彩りを届けたい。
Comments